配当金とは? — 会社の利益を現金で分けてもらうしくみ
配当金は、会社が稼いだ利益の一部を株主に現金で分けてくれるお金です。英語ではdividend(ディビデンド)、証券アプリでは「配当」「1株配当」と表示されます。株を持っているだけで、こちらが何もしなくても口座にお金が入ってきます。
イメージとしては、畑の収穫の分け前に近いです。畑(会社)を一部持っている人が、その年に採れた作物(利益)を持ち分に応じて分けてもらう。畑そのものを売らなくても、毎年の収穫だけを受け取り続けられる——これが配当のいちばんの魅力です。
金額は「1株あたり◯円」という形で発表されます。年間配当50円の会社を100株持っていれば年5,000円(税引前)。多くの日本企業は年2回、中間配当と期末配当に分けて支払います。
配当を出すかどうかは会社の自由です。利益をぜんぶ設備投資や研究開発に回す成長企業は、あえて無配(配当ゼロ)を選ぶこともあります。無配だから悪い会社、というわけではありません。
配当金はいつもらえる? — 権利確定から入金まで2〜3か月
いちばん多い質問が「買ってからいつ振り込まれるの?」です。答えは、権利が確定した日のおよそ2〜3か月後。買った翌月にすぐ入る、ということはありません。
日本企業でいちばん多い3月決算の会社なら、3月末に権利が確定して、実際の入金は6月下旬から7月上旬。期末配当は6月の株主総会で正式に承認されてから支払われるため、この時間差が生まれます。中間配当は9月末に権利が確定して、12月上旬ごろの入金です。
「配当をもらう権利が確定する日」と「配当が振り込まれる日」はまったくの別物、という順番を押さえておくと混乱しません。入金のタイミングでは、証券口座への振込と同時に「配当金計算書」が届きます。
| 権利が確定する月 | 配当の種類 | 入金されるおおよその時期 |
|---|---|---|
| 3月末 | 期末配当(3月決算の会社) | 6月下旬〜7月上旬 |
| 9月末 | 中間配当(3月決算の会社) | 11月下旬〜12月上旬 |
| 12月末 | 期末配当(12月決算の会社) | 3月下旬ごろ |
| 6月末 | 中間配当(12月決算の会社) | 9月ごろ |
| 3か月ごと | 四半期配当 | 米国株では一般的。日本ではごく少数の会社が採用 |
権利付最終日・権利落ち日・権利確定日の違い — カレンダーで覚える
配当をもらえるのは「権利確定日に株主名簿に名前が載っている人」です。ここに最大の落とし穴があります。株は買ってから名簿に載るまで2営業日かかるため、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに買っておく必要があるのです。
つまり、権利確定日が3月31日だからといって3月31日に買っても、まったく間に合いません。3営業日ぶん手前を意識してください。逆に言えば、権利付最終日の取引終了時点で持っていれば、翌日に売っても配当はきちんともらえます。
土日祝を挟むと、この日付はさらに前倒しになります。ゴールデンウィークや年末年始の前後はとくにずれやすいので、証券アプリの銘柄ページに表示される「権利付最終日」を必ず確認してください。多くの証券会社は権利付最終日の一覧ページを用意しています。
| 日付 | 呼び方 | この日に何が起きる? |
|---|---|---|
| 3月28日(月)まで | ふつうの営業日 | もちろん、この日までに買ってあれば配当はもらえます |
| 3月29日(火) | 権利付最終日 | 配当をもらうための最後のチャンス。この日の取引終了時点で持っていればOK |
| 3月30日(水) | 権利落ち日 | 配当の権利が外れる日。この日に買っても今回の配当はもらえません。配当額のぶん株価が下がりやすい日でもあります |
| 3月31日(木) | 権利確定日 | 株主名簿が確定する日。決算日と同じ日に設定されるのが一般的です |
| 6月下旬 | 配当金の支払日 | 株主総会での承認を経て、証券口座に入金されます |
配当金の税金はいくら? — 20.315%とNISAの非課税枠
配当金は、自動的に税金が引かれてから振り込まれます。税率は20.315%。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。特定口座(源泉徴収あり)なら、確定申告をしなくても自動で処理されます。
年12万円の配当なら、約2万4,378円が税金として引かれ、手取りは約9万5,600円。利回りで見ると、税引前3.0%だった配当利回りが、手取りベースでは約2.4%まで下がる計算です。1割強ではなく2割強も持っていかれるので、影響は思ったより大きいはずです。
ここで効いてくるのが新NISAです。NISA口座(成長投資枠)で買った株の配当は非課税なので、12万円がまるごと手元に残ります。年間の差は約2.4万円、10年続ければ24万円。配当をコツコツ受け取るスタイルほど、NISAの恩恵は積み上がっていきます。
ただし、NISA口座で買っていても、受け取り方式の設定を間違えると容赦なく課税されます。次の章が、地味ですがこの記事でいちばん重要な話です。
配当金の受け取り方式 — 「株式数比例配分方式」にしないと損する
配当金の受け取り方には4つの方式があり、証券口座で直接受け取る「株式数比例配分方式」を選んでおくのが基本です。特にNISA口座で配当を非課税にするには、この方式が必須条件。銀行振込や郵便局受け取りの方式のままだと、せっかくNISAで買っていても配当に20.315%が課税されてしまいます。
設定はかんたんで、証券会社のサイトで「配当金受取方式」というメニューを探して切り替えるだけ。SBI証券でも楽天証券でも、口座管理や登録情報のページの中にあります。一度設定すれば、その後に買った銘柄すべてに自動で適用されます。
証券口座の設定画面で一度確認すれば終わる作業なので、口座を作ったら最初にチェックしておきましょう。ひとつ注意点として、権利確定日の直前に変更しても今回の配当には間に合わないことがあります。変更は権利付最終日より前に済ませておくのが安全です。
- ① 株式数比例配分方式: 保有株数に応じて、証券口座に直接入金される方式。NISAの非課税を受けるにはこれ一択です。複数の証券会社に口座があっても、それぞれの口座に振り分けられます。
- ② 登録配当金受領口座方式: 指定した銀行口座に、すべての銘柄の配当をまとめて振り込む方式。管理はラクですが、NISAの非課税は受けられません。
- ③ 個別銘柄指定方式: 銘柄ごとに振込先の銀行口座を指定する方式。手続きが煩雑なため、ほとんど使われていません。
- ④ 配当金領収証方式: 郵送で届く領収証を郵便局などに持ち込んで現金を受け取る方式。受け取り期限を過ぎると失効するので、忘れやすいのが難点です。
配当利回りと配当性向 — 配当の「率」と「無理のなさ」を見る
配当を出す会社を比べるとき、金額そのものより大事なのが2つの比率です。金額だけ見ても、株価が違えばお得さは比べられません。
配当利回りは「投資した金額に対して、年に何%の配当が返ってくるか」。1株配当60円 ÷ 株価2,000円 × 100 = 3.0%という計算です。日本株全体の平均はおおむね2%前後で推移してきたので、3%を超えると高配当と呼ばれる部類に入ります。
配当性向は「稼いだ利益のうち、何%を配当に回しているか」。30〜40%なら余力を残した健全な水準、70%を超えると業績が少し悪化しただけで減配になりやすい、と読みます。100%を超えていたら、その年の利益以上に配当を払っている状態です。
利回りだけを見て飛びつくと、配当性向が異常に高い「無理をしている会社」をつかんでしまいます。利回りは魅力度、配当性向は持続力。必ずセットで確認してください。
配当のよくある落とし穴 — 初心者がハマる4パターン
配当はわかりやすい魅力があるぶん、初心者がハマる罠も決まっています。先に知っておけば、ほとんどは避けられます。
とくに①は毎年3月末と9月末に大量の人がやって、大量の人が後悔しているパターンです。配当は「株を持ち続けたごほうび」であって、短期で抜ける裏ワザではありません。
- ① 配当取りの短期売買: 権利付最終日に買って権利落ち日に売る作戦。配当分だけ株価が下がるうえ、配当には20.315%の税金がかかり、株価の下落分は自分で被ります。差し引きでマイナスになりやすい戦略です。
- ② 高利回りに飛びつく: 配当利回りは株価が下がるほど自動的に上がります。利回り6%の銘柄は、業績悪化を織り込んで株価が半分になった結果かもしれません。「なぜ利回りが高いのか」を先に調べてください。
- ③ 減配・無配のリスクを忘れる: 配当は約束されたものではありません。業績が悪化すれば減配(配当を減らす)や無配(ゼロにする)になり、株価も同時に大きく下がるのが普通です。
- ④ タコ足配当を見抜けない: 利益が出ていないのに、過去の蓄え(利益剰余金)や借金を取り崩して配当を続けている状態。配当性向が100%を大きく超えていたら、この可能性を疑いましょう。
まとめ
配当金は利益の分け前で、もらうには権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までの購入が必要。入金は権利確定から2〜3か月後で、3月末権利確定なら6月下旬ごろです。
税金は20.315%。NISA口座なら非課税になりますが、受け取り方式を「株式数比例配分方式」にしていないと課税されてしまいます。口座を作ったら、まずこの設定を確認してください。
そして権利落ち日の株価下落に注意し、配当利回りと配当性向をセットで見る。この4点を押さえれば、配当の仕組みで迷うことはもうありません。
まずは自分が気になっている銘柄の権利確定月と1株配当を、証券アプリで調べてみるところから始めましょう。
よくある質問
配当金はいつもらえますか?
権利確定日のおよそ2〜3か月後に入金されます。日本でいちばん多い3月決算の会社なら、3月末に権利が確定して6月下旬〜7月上旬の入金。9月末に権利が確定する中間配当なら12月上旬ごろです。期末配当は6月の株主総会で正式に承認されてから支払われるため、この時間差が生まれます。
権利付最終日と権利確定日の違いは何ですか?
権利付最終日は「この日までに買えば配当をもらえる」最後の日、権利確定日は「株主名簿に名前が載る」日です。株は買ってから名簿に載るまで2営業日かかるため、権利付最終日は権利確定日の2営業日前になります。権利確定日が3月31日なら、3月29日ごろまでに買う必要がある、というイメージです。土日祝を挟むとさらに前倒しになります。
権利落ち日に株を売っても配当はもらえますか?
もらえます。権利付最終日の取引終了時点で保有していれば権利は確定しているので、翌日の権利落ち日に売っても配当は後日きちんと振り込まれます。ただし権利落ち日は配当額のぶん株価が下がりやすく、売却で出る損が配当を上回ることも多いため、配当目当ての短期売買はおすすめできません。
配当金にかかる税金はいくらですか?
20.315%です。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%。年12万円の配当なら約2万4,378円が引かれ、手取りは約9万5,600円になります。特定口座(源泉徴収あり)なら自動で差し引かれるので、確定申告の手間はかかりません。
NISA口座なら配当金は非課税になりますか?
なります。ただし条件があり、配当金の受け取り方式を「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。銀行振込(登録配当金受領口座方式)や郵便局受け取り(配当金領収証方式)のままだと、NISA口座で買った株でも20.315%が課税されてしまいます。証券会社の口座管理ページで設定を確認してください。
配当金は1株でももらえますか?
もらえます。配当は保有株数に比例して支払われるため、1株だけ持っていれば1株ぶんの配当が受け取れます。ミニ株(単元未満株)のサービスを使えば数千円から株が買えるので、1株配当50円の会社を1株持てば年50円(税引前)です。ただし株主優待は100株以上を条件にしている会社が多く、配当とは扱いが異なります。
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