配当利回りとは? — 株価に対して年何%もらえるか
配当利回りは、「いまの株価で買った場合、1年間にもらえる配当金が株価の何%にあたるか」を表す数字です。読み方はそのまま「はいとうりまわり」、英語ではDividend Yield。証券アプリの銘柄ページに、PERやPBRと並んで載っています。
株価2,000円の会社が年間60円の配当を出すなら、利回りは3%。100万円分持っていれば年3万円(税引前)が、株価が1円も動かなくても入ってくる計算です。銀行の普通預金の金利が0.1%前後という時代が長く続いてきたことを考えると、この差は大きいですよね。
配当は多くの会社が年2回(中間配当と期末配当)に分けて払います。年間配当60円なら、30円ずつ2回振り込まれるイメージです。なお、証券アプリに表示されている利回りはあくまで今日の株価で計算した数字。あなたにとっての本当の利回りは、あなたが買った値段で決まります。
配当利回りは何%が目安? — 水準別の早見表
日本株全体の平均はおよそ2%前後で推移してきました。3%を超えると「高配当」と呼ばれることが多く、4%超は明確に高い水準です。5%を超えると、そこには必ず理由があると考えたほうがいい領域に入ります。
配当のいいところは、株価が下がっている時期でも受け取れる「心の支え」になること。含み損を抱えていても年3%が入ってくると思えば、狼狽売りせずに済みます。配当をもらいながら株価の回復をじっくり待てるので、長期投資やバリュー投資との相性が抜群です。
業種による偏りも大きく、銀行、商社、通信、保険、たばこ、海運などは高配当になりやすい一方、成長中のIT企業は配当をほとんど出さず、稼いだお金を事業投資に回します。無配だから悪い会社というわけではなく、「配当より成長に使う」という方針の違いです。
| 利回り | 位置づけ | どう考えるか |
|---|---|---|
| 0%(無配) | 成長重視 or 業績不振 | 稼いだお金を投資に回す成長企業か、配当を出す余力がない会社か、見極めが必要 |
| 1〜2% | 平均並み | 市場平均のあたり。配当より株価の値上がりを狙う銘柄が多い |
| 3〜4% | 高配当 | 高配当株と呼ばれるゾーン。配当性向が無理のない範囲かを確認したい |
| 4〜5% | かなり高い | 業績が安定しているなら魅力的。まず配当性向と過去の減配歴をチェック |
| 6%超 | 要警戒 | 株価下落で見かけ上そう見えているだけのケースが多い。減配リスクを疑う |
高配当の罠 — 利回りは株価が下がると自動的に上がる
ここがこの記事でいちばん大事なところです。配当利回りの計算式を、もう一度見てください。分母は株価です。
つまり、会社が配当を1円も増やしていなくても、株価が下がるだけで利回りは勝手に上がります。年間配当100円の会社の株価が2,500円なら利回り4%。同じ会社の株価が業績悪化で1,250円まで半減すると、配当が同じ100円のままでも利回りは8%に跳ね上がるのです。
「利回り8%!」という数字だけを見ると宝の山に見えますが、その正体は「株価が半分になった会社」です。そして業績が悪いままなら、いずれ配当そのものが減らされ(減配)、株価もさらに下がるダブルパンチを食らいます。減配が発表された瞬間に株価が1日で10%以上下げることも珍しくありません。
この現象は配当の罠(Dividend Trap)と呼ばれ、高配当投資でいちばん多い失敗の原因です。だから利回りの数字を見たときは、必ず「高いのは配当が増えたからか、それとも株価が下がったからか」を確かめてください。株価チャートを1年ぶん見るだけで、たいていは判別できます。
減配を見抜くカギは配当性向 — 無理して払っていないか
見分けるカギは配当性向(利益のうち配当に回している割合)です。配当性向が30〜50%なら無理のない配当。80%を超えていたら、利益のほとんどを配当に回している自転車操業ぎみの状態で、減配リスクが高いと考えましょう。
たとえば1株あたり利益(EPS)200円の会社が年間配当60円を出していれば、配当性向は30%。残りの140円は設備投資や借金返済に回せるので、多少業績が落ちても配当を維持できます。ところが同じ60円の配当をEPS65円の会社が出していたら配当性向は92%。少し利益が減っただけで、配当は払えなくなります。
配当性向が100%を超えている会社は、今年の利益より多い金額を配当に出している状態です。記念配当なら一時的なもので済みますが、それが何年も続いているならいずれ限界が来ます。もうひとつ見ておきたいのが営業キャッシュフローと配当総額の関係で、本業で稼いだ現金の範囲内で払えているなら、その配当はかなり信頼できます。
| 配当性向 | 評価 | どう考えるか |
|---|---|---|
| 0〜20% | 余力たっぷり | 増配の余地が大きい。成長投資を優先している段階の会社も多い |
| 30〜50% | 健全 | いちばん安心できるゾーン。多くの日本企業が目標として掲げる水準 |
| 50〜80% | やや高め | 業績が安定していれば問題ないが、利益が2〜3割減ると苦しくなる |
| 80%超 | 危険信号 | 利益のほとんどを配当に回している。減配リスクが高い |
| 100%超 | 赤信号 | 今年の利益を超える配当。過去の蓄えを取り崩している状態 |
配当金の税金 — 手取りはいくら減る?
配当金には税金がかかります。上場株式の配当にかかる税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)。証券口座で自動的に差し引かれた後の金額が振り込まれます。
たとえば年間12万円の配当を受け取ると、約2万4,000円が税金として引かれ、手取りは約9万5,600円。利回り4%のつもりが、手取りベースでは約3.2%になる計算です。この差は無視できません。
ここで効いてくるのがNISA(少額投資非課税制度)です。NISA口座で買った株の配当は非課税なので、12万円がまるごと受け取れます。年間の投資枠はつみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円の合計360万円、生涯の上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。高配当株を長く持つつもりなら、NISA口座を優先して使う価値は十分にあります。
ひとつだけ落とし穴があります。NISAで配当を非課税で受け取るには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。郵便局で受け取る方式のままだと、NISA口座で買った株なのに課税されてしまいます。SBI証券でも楽天証券でも、口座管理のページから数クリックで変更できるので、最初に一度だけ確認しておいてください。
配当はいつもらえる? — 権利確定日と配当落ち
配当をもらうには、「権利確定日」の時点で株主名簿に載っている必要があります。ただし株の受け渡しには2営業日かかるため、実際に買っておくべきなのは権利確定日の2営業日前、これを権利付最終日と呼びます。3月末が権利確定日の会社なら、3月末の2営業日前までに買っておけばOKです。
注意したいのが配当落ちです。権利付最終日の翌日(権利落ち日)には、配当をもらう権利がなくなるぶん、株価が配当額に近い分だけ下がりやすくなります。年間配当60円の半分の30円が中間配当なら、権利落ち日の朝は30円ほど安く始まるイメージです。
だから「権利付最終日に買って、翌日売れば配当だけもらえる」という作戦は基本的に成り立ちません。もらった配当と同じくらい株価が下がるうえ、配当には20.315%の税金がかかるぶん、むしろ損をしやすいのです。配当は短期の裏技ではなく、長く持ち続ける人へのごほうびだと考えてください。なお実際の入金は、権利確定日から2〜3か月ほど後になります。
- ① 権利付最終日までに株を買う(権利確定日の2営業日前)
- ② 権利落ち日 — 配当分だけ株価が下がりやすい。この日に売っても配当はもらえる
- ③ 権利確定日 — 株主名簿が確定する
- ④ 2〜3か月後、株主総会などを経て配当金が証券口座に振り込まれる
配当利回りとPER・PBR・ROEの関係
配当利回りは単体で見るより、他の指標と重ねたほうが精度が上がります。まずPERとの関係。配当利回りと配当性向とPERには、配当利回り = 配当性向 ÷ PER という関係があります。PERが低い(株価が利益に対して安い)ほど、同じ配当性向でも利回りは高くなるということです。
次にROEです。ROE(自己資本利益率)が高い会社は、稼いだ利益から無理なく配当を出せます。逆にROEが5%を切るような会社が配当利回り5%を出しているなら、それは稼ぎではなくため込んだ財産を取り崩している可能性があります。高配当を見たら、ROEが8%以上あるかを確かめてみてください。
PBRも見ておく価値があります。PBR1倍割れの会社に東証が資本効率の改善を求めた流れのなかで、増配や自社株買いを打ち出す会社が増えたからです。理想は、株価下落で利回りが高く見えている銘柄ではなく、利益を伸ばしながら配当も増やしている会社(連続増配企業)を選ぶこと。10年以上増配を続けている会社は、それだけで経営の規律を示しています。
まとめ
配当利回りは保有中のリターンを測る身近な指標です。日本株の平均は2%前後、3%超で高配当、4%超は明確に高い水準。ただし6%超が見えたら、まず疑ってかかってください。
いちばん大事なのは、利回りの分母が株価だということ。会社が何もしていなくても、株価が半分になれば利回りは倍になります。「利回りが高い」は「株価が下がった」の言い換えかもしれない——ここを忘れなければ、高配当投資の失敗はぐっと減ります。
そこで効くのが配当性向です。30〜50%なら無理のない配当、80%超なら減配リスクの信号。ROEが8%以上あるかも一緒に見れば、その配当が実力から出ているのかがわかります。あとはNISA口座と株式数比例配分方式の設定を済ませておけば、税金で2割持っていかれることもありません。
まずは気になる高配当銘柄の配当性向と、過去5年の配当推移を調べてみるところから始めてみてください。
よくある質問
配当利回りは何%が目安ですか?
日本株全体の平均は2%前後で、3%を超えると高配当と呼ばれます。4%超は明確に高い水準で、5%を超えると必ず理由があると考えたほうがよい領域です。6%を超える銘柄の多くは、業績悪化で株価が下がった結果そう見えているだけなので、配当性向や過去の減配歴を確認してから判断してください。
高配当株の罠とは何ですか?
配当利回りの分母が株価であることから生じる錯覚です。会社が配当を1円も増やしていなくても、株価が半分になれば利回りは2倍に跳ね上がります。年間配当100円・株価2,500円で利回り4%だった会社は、株価が1,250円に下がると利回り8%に見えます。しかし業績悪化が原因なら、いずれ減配され、株価もさらに下がるという二重の損失につながります。
減配のリスクはどこを見れば分かりますか?
いちばんの目安は配当性向(利益のうち配当に回している割合)です。30〜50%なら無理のない水準、80%を超えると利益のほとんどを配当に回している状態で減配リスクが高まります。100%超は今年の利益を上回る配当を出しており、過去の蓄えを取り崩している状態です。あわせて過去5〜10年の配当推移を見て、減配した経験があるかも確認してください。
配当金に税金はいくらかかりますか?
上場株式の配当には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)がかかり、証券口座で自動的に差し引かれます。年間12万円の配当なら約2万4,000円が引かれ、手取りは約9万5,600円です。NISA口座で保有していれば非課税になりますが、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定していないと課税されるので注意してください。
配当をもらうにはいつまでに株を買えばいいですか?
権利確定日の2営業日前である「権利付最終日」までに買って、その日の取引終了時点で保有している必要があります。3月末が権利確定日の会社なら、3月末の2営業日前までです。翌日の権利落ち日には売っても配当は受け取れますが、その日は配当額とほぼ同じだけ株価が下がりやすいため、短期で配当だけ取る作戦はうまくいきません。
配当利回りとPERやROEはどう関係しますか?
配当利回りは、配当性向 ÷ PER で表せます。つまりPERが低い(利益に対して株価が安い)ほど、同じ配当性向でも利回りは高くなります。またROEが高い会社は稼いだ利益から無理なく配当を出せますが、ROEが5%を切るのに利回りが5%あるような会社は、ため込んだ財産を取り崩している可能性があります。高配当を見つけたら、ROEが8%以上あるかを確認するのがおすすめです。
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