株主優待とは? — 会社からもらえる「おまけ」の制度
株主優待は、会社が株主に自社商品や割引券などを「おまけ」として贈る制度です。配当金がお金での還元なら、優待はモノやサービスでの還元。実はこれ、世界でも日本にほぼ固有の文化で、上場企業のおよそ3〜4割が実施しています。
外食チェーンの食事券、食品メーカーの詰め合わせ、鉄道会社の乗車券、映画館の招待券。自分の生活で使えるものが届くと、投資がぐっと身近になります。「優待が届くから株価が下がっても持ち続けられた」という人は実際に多く、長期保有の心の支えとしても優秀です。
会社側にも狙いがあります。個人株主が増えれば株主構成が安定しますし、自社製品を配れば新しいファンにもなってくれる。だから優待は、業績が伸びている会社ほど手厚くなる傾向があります。逆に言えば、優待の廃止は会社の余裕がなくなったサインでもあります。
| ジャンル | よくある内容 | 向いている人・注意点 |
|---|---|---|
| 食事券・割引券 | 外食チェーンの店舗で使える食事券、割引カード | 近所に店舗があるかが命。有効期限が半年〜1年と短めのことが多い |
| 自社製品 | 食品メーカーの詰め合わせ、日用品セット | ふだん買っている商品なら、そのまま生活費の節約になる |
| 金券・ギフトカード | QUOカード、ギフトカード | 誰にとっても価値が同じで使いやすい。ただし廃止されやすいジャンル |
| カタログギフト | ポイント制で好きな商品を選べる方式 | 長期保有でもらえるポイントが増える会社が多い |
| 施設・乗車券 | 鉄道の乗車証、映画館の招待券、テーマパークの入場券 | 使う機会があれば額面以上の満足度。使わないと価値ゼロ |
株主優待はいつ買えばもらえる? — 権利確定日と権利付き最終日
優待は「1年のうち特定の日に株主名簿に載っている人」に贈られます。この日が権利確定日で、多くの会社は3月末、次いで9月末に設定しています。
ここでひとつだけ、初心者が必ずつまずく仕組みがあります。株は買った当日には名簿に載らず、名義が移るまでに2営業日かかるのです。そのため、権利確定日の2営業日前までに買っておく必要があります。この最後の日を権利付き最終日と呼びます。
たとえば3月31日が権利確定日なら、その2営業日前が権利付き最終日。土日祝を挟むと前にずれるので、自分でカレンダーを数えるより、証券アプリの銘柄ページに表示される「権利付き最終日」を見るのが確実です。この日の取引終了時点(15時30分)までに買い注文が約定していればセーフ、翌日(権利落ち日)に買っても今回はもらえません。
そして「持ち続けなければいけない期間」は、実は権利付き最終日の1日だけ。理屈のうえでは権利付き最終日に買って、翌日の権利落ち日に売っても優待はもらえます。ただしこれには大きな落とし穴があるので、後半で説明します。
| 日付 | 呼び方 | 何が起きる? |
|---|---|---|
| 3月29日(水) | 権利付き最終日 | この日の取引終了までに買えば優待・配当の権利が得られる |
| 3月30日(木) | 権利落ち日 | 権利がなくなるため、優待・配当ぶんだけ株価が下がりやすい |
| 3月31日(金) | 権利確定日 | この日の株主名簿に基づいて優待の対象者が決まる |
| 6月ごろ | 優待の到着 | 株主総会の招集通知などと前後して、優待品が郵送で届く |
株主優待はいつ届く? — 権利確定から2〜3か月後が目安
権利を取ってから優待品が手元に届くまでには、けっこう時間がかかります。目安は権利確定日から2〜3か月後。3月末の権利なら6月ごろ、9月末の権利なら11〜12月ごろが一般的です。
これは、会社が株主名簿を集計し、株主総会の準備と並行して発送の手配をするためです。忘れたころに届くので、「申し込みを忘れたのでは?」と心配する必要はありません。優待の受け取りに手続きは不要で、証券口座に登録した住所に自動で郵送されます。
ただしカタログギフト型の優待だけは例外で、届いた案内はがきから自分で商品を選んで申し込む必要があります。返送の期限を過ぎると権利が消えるので、届いた郵便物は開けずに放置しないようにしましょう。
優待利回りで比べる — 「おすすめ」は自分で計算できる
「おすすめの優待」を探すとき、内容の魅力だけで選ぶと比べようがありません。そこで使うのが優待利回りです。投資したお金に対して、優待が年何%ぶんの価値になるかを表します。
さらに配当利回りを足した「総合利回り」で見ると、その株を持つことでどれだけのリターンが得られるかが一目でわかります。食事券3,000円という数字だけでは魅力的に見えても、投資額が100万円なら利回りは0.3%。それなら普通の配当のほうが効率がいい、という判断ができるようになります。
目安として、優待利回り1%以上、配当と合わせた総合利回りで3%以上あれば、還元の手厚い部類に入ります。ただし利回りが極端に高い銘柄は、株価が下がって利回りだけが上がっているケースも多いので、業績の確認は必ずセットで行ってください。
初心者におすすめの優待の選び方 — 失敗しにくい5つの基準
優待銘柄は1,000社以上あって、全部を見るのは現実的ではありません。次の5つの基準でふるいにかけると、初心者でも外しにくい候補に絞れます。
とくに①は本当に大事です。年2回の食事券がうれしいのは、通える店が近くにある人だけ。使わない優待は、額面がいくら大きくても価値ゼロです。
- ① 自分が本当に使うか: 家の近くに店舗があるか、家族が使うか。「もらったら使うだろう」ではなく「今月それにお金を払ったか」で判断してください。
- ② 100株で権利が取れるか: 優待は100株から設定されている会社が多い一方、500株や1,000株必要な会社もあります。株価×100株が自分の予算に収まるかを先に確認します。
- ③ 業績が安定しているか: 売上と営業利益が数年横ばい以上か。優待の原資は利益なので、利益が細れば優待も細ります。
- ④ 配当も出しているか: 優待だけで配当ゼロの会社より、配当も出している会社のほうが株主還元の姿勢が安定しています。総合利回りで比べましょう。
- ⑤ 優待の実施年数が長いか: 10年以上続けている会社は、優待を経営の一部と位置づけている可能性が高い。始めたばかりの会社より継続性が期待できます。
優待投資の落とし穴5つ — 「おまけ」で主役を見失わない
① 優待は突然廃止される: 優待は配当と違って会社の「サービス」なので、業績悪化や方針変更であっさり廃止・改悪されます。特にQUOカードなど自社事業と関係ない金券系は廃止されやすい傾向があり、発表当日に株価が10%以上下げることも珍しくありません。
② 権利落ち日に株価が下がる: 権利付き最終日の翌日は、優待と配当の権利が外れるぶん株価が下がりやすくなります。3,000円の優待をもらうために20万円ぶん買って、翌日に株価が5,000円ぶん下がる——「優待だけもらってすぐ売る」がうまくいかない理由がこれです。
③ 優待につられて業績の悪い会社を持ってしまう: 3,000円の食事券のために、株価が3万円下がった株を握り続けるのは本末転倒。優待はあくまで「おまけ」で、主役は会社の稼ぐ力です。
④ 使い切れずに期限が切れる: 食事券の有効期限は半年〜1年が一般的。年2回もらううちに前回ぶんが期限切れ、というのはよくある話です。「使い切れる量か」まで含めて優待利回りを考えてください。
⑤ 単元未満株ではもらえないことが多い: 1株投資で株主にはなれますが、優待は100株以上が条件の会社がほとんどです。優待狙いなら、単元未満株で買い増して100株にそろえる必要があります。
知っておくと得する2つの仕組み — 長期保有優遇とつなぎ売り
ひとつめは長期保有優遇です。「1年以上継続して保有している株主には優待を2倍に」といった上乗せを用意している会社が増えています。判定は証券会社をまたいで管理される株主番号で行われるため、権利日の前後だけ買って売るやり方では条件を満たせません。長く持つ人ほど得をする、会社からのメッセージだと考えてください。
ふたつめが、つなぎ売り(優待クロス取引)と呼ばれる手法です。同じ銘柄を現物で買うと同時に信用取引で売り建てておくことで、権利落ちによる株価下落の影響を打ち消し、優待だけを取ろうというもの。理屈は成り立ちますが、貸株料や信用取引の手数料がかかり、人気銘柄では逆日歩という追加コストが読めない形で発生します。
つなぎ売りは信用取引の仕組みを理解している人向けのテクニックです。初心者のうちは手を出さず、「気に入った会社を100株買って持ち続ける」というシンプルなやり方で十分に楽しめます。
なお税金の扱いも覚えておくと安心です。配当金は受け取り時に約20%が源泉徴収されますが、株主優待は原則として雑所得にあたります。給与以外の所得が年20万円を超える場合は申告が必要になるので、優待を大量に集める段階になったら意識してみてください。
まとめ
株主優待をもらう条件はシンプルで、権利確定日の2営業日前にあたる権利付き最終日までに、必要株数(多くは100株)を買っておくこと。届くのは権利確定から2〜3か月後です。
選ぶときは、優待利回りと配当利回りを足した総合利回りで比べ、そのうえで「自分が本当に使うか」を最優先に。3%を超えていれば還元の手厚い部類ですが、使わない優待は利回りゼロと同じです。
そして主役はあくまで会社の実力。業績と割安さで選んだ会社に優待が付いていた、という順番を守れば、優待は投資をいちばん楽しくしてくれるスパイスになります。まずは自分がよく使うお店の銘柄コードを調べて、権利付き最終日を見てみるところから始めてみてください。
よくある質問
株主優待はいつもらえますか?
権利確定日から2〜3か月後に郵送で届くのが一般的です。3月末が権利確定日なら6月ごろ、9月末なら11〜12月ごろが目安になります。株主総会の準備と並行して発送されるため時間がかかりますが、受け取りに手続きは不要で、証券口座に登録した住所へ自動的に送られてきます。カタログギフト型だけは、届いた案内から自分で商品を選んで申し込む必要があります。
株主優待をもらうにはいつまでに買えばいいですか?
権利確定日の2営業日前にあたる「権利付き最終日」の取引終了までに買えば権利が得られます。株は買った当日には株主名簿に載らず、名義が移るまでに2営業日かかるためです。権利確定日当日に買っても間に合いません。土日祝の入り方で日付がずれるので、証券アプリの銘柄ページに表示される権利付き最終日を確認するのが確実です。
権利確定日と権利落ち日の違いは何ですか?
権利確定日は、その日の株主名簿に載っている人が優待や配当の対象者として確定する日です。権利落ち日は権利付き最終日の翌営業日で、この日に買っても今回の優待や配当はもらえません。権利落ち日は優待と配当のぶんの価値が抜けるため、株価が下がりやすいという特徴があります。
株主優待は何株から、いくらからもらえますか?
多くの会社で100株からです。株価1,500円の会社なら15万円、株価800円の会社なら8万円で権利を取れる計算になります。会社によっては500株や1,000株が条件のこともあり、逆に数万円で優待がもらえる銘柄もあります。1株単位で買える単元未満株では、原則として優待の対象になりません。
優待をもらってすぐ売るのはお得ですか?
おすすめできません。権利落ち日には優待と配当のぶんだけ株価が下がりやすく、3,000円の優待をもらうために株価の下落で5,000円損をする、といったことが起こります。また1年以上の継続保有を条件に優待を増やす会社も増えているため、短期で売ると条件を満たせません。気に入った会社を持ち続けるほうが結果的に有利です。
株主優待のデメリットは何ですか?
最大のデメリットは、会社の判断でいつでも廃止・改悪される点です。優待は配当と違って法的な義務がなく、業績悪化や株主平等の観点から取りやめる会社が増えています。廃止が発表されると株価が大きく下げることもあります。ほかに、使い切れずに有効期限が切れる、優待に目を奪われて業績の悪い会社を持ってしまう、といった落とし穴もあります。
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