株の買い方の全体像 — 決めるのは3つだけ

証券アプリの注文画面は項目が多くて身構えますが、実際にあなたが決めるのは「どの株を」「何株」「いくらで」の3つだけです。残りの欄は初期設定のままで問題ありません。

「どの株を」は銘柄名か4桁の証券コード(トヨタ自動車なら7203、三菱UFJフィナンシャル・グループなら8306)で検索します。「何株」は通常100株単位ですが、単元未満株サービスを使えば1株から。そして最後の「いくらで」に、株の注文で唯一クセのある選択肢が出てきます。それが成行と指値です。

買う前にもうひとつだけ。証券口座にお金が入っていないと注文は出せません。アプリの「入金」から即時入金(ネット銀行と連携したリアルタイム入金)を使えば、数分で買付余力に反映されます。ここでつまずく人が意外と多いので、注文の前に買付余力の数字を確認しておきましょう。

スマホでの株の買い方 — 注文画面の6ステップ

ここからが本題です。会社によって色や配置は違いますが、聞かれることはどのアプリでもほぼ同じ。画面に出てくる言葉のまま順に追いかけます。

はじめての1回だけ緊張しますが、2回目からは30秒で終わります。まずは流れを頭に入れてから、実際の画面を開いてみてください。

注文画面の6ステップ
  • ① 銘柄を検索する: 画面下の「検索」または虫めがねアイコンから、会社名か4桁の証券コードを入力。候補が出たらタップして銘柄ページへ。ここに現在値、前日比、板情報(いくらで何株の買い注文・売り注文が並んでいるか)が表示されます。
  • ② 「現物買」を押す: 銘柄ページの下部にある赤い「現物買」ボタンをタップ。似た名前で「信用買」がありますが、これは借金をして買う仕組みなので押さないでください。
  • ③ 株数を入れる: 「数量」欄に買いたい株数を入力します。通常は100、200のように100株単位。単元未満株の画面なら1株から入力できます。
  • ④ 価格を決める(成行か指値か): 「成行」「指値」のどちらかを選びます。指値を選んだら、いくらで買いたいかの価格を入力。ここがこの記事のいちばんの山場なので、次の見出しでじっくり説明します。
  • ⑤ 執行条件・期間・預り区分を選ぶ: 「執行条件」は初期値の「なし(指定なし)」、「注文有効期間」は「本日中」、「預り区分」は特定口座かNISA口座かを選択。詳しくは後述しますが、迷ったらこの初期設定で大丈夫です。
  • ⑥ 確認して発注する: 「注文確認」を押すと、銘柄・株数・価格・概算の約定代金がまとめて表示されます。ここで金額の桁を必ず見直してください。問題なければ取引暗証番号(取引パスワード)を入力し、「注文発注」をタップ。これで完了です。
桁の打ち間違いが最大の事故「100株」のつもりが「1000株」、「2,000円」のつもりが「20,000円」。この単純ミスが初心者の事故の大半です。確認画面に出る概算約定代金が、自分の想定と一桁違っていないか。ここだけは毎回目視してください。

指値と成行の違い — どっちを使えばいい?

成行(なりゆき)は「値段はいくらでもいいから、いますぐ買いたい」という注文です。確実に買える代わりに、値段は市場まかせ。板に並んでいる売り注文を、安いほうから順番に食べていく形で約定します。

指値(さしね)は「この値段以下なら買う」と自分で値段を指定する注文です。たとえば株価2,050円の株に「2,000円の指値」を出しておくと、2,000円まで下がったときだけ自動で買ってくれます。下がらなければ買えないままですが、想定より高くつかまされる心配はありません。

初心者はまず指値からがおすすめです。取引が薄い銘柄で成行注文を出すと、見ていた値段より数%高いところで約定してしまうことがあります。急いで買わないといけない場面は、長期投資にはほぼありません。

なお、指値の価格は好きな数字を入れられるわけではなく、株価帯ごとに刻み(呼値の単位)が決まっています。多くの銘柄では3,000円以下なら1円刻み、3,000円を超えると5円刻み。刻みに合わない価格を入れるとエラーになるので、そのときは近い値に直してください。

成行と指値の違い早見表
成行指値
意味値段を指定せず、いますぐ買う「この値段以下なら買う」と自分で指定する
約定するか取引時間中ならほぼ確実に約定するその値段まで来なければ約定しない
値段のコントロールできない。想定より高く買うことがあるできる。指定より高い値段では買わない
向いている場面どうしてもその日に買いたいとき、売買が活発な大型株長期投資での買い付け全般。初心者はまずこちら
注意点板が薄い銘柄や寄り付き直後は、想定外の値段で約定しやすい指値が届かないまま期限切れになることがある
指値の使い方の例現在値2,050円の株が欲しい → 「2,030円・本日中」で指値を出す。その日のうちに2,030円まで下がれば約定、下がらなければ注文は自動で消えます。翌日また出し直せばOK。20円の差でも100株なら2,000円、毎回の積み重ねはばかになりません。

執行条件・注文期間・預り区分 — 残りの欄はこう埋める

④まで決まれば、あとは残りの欄です。初期設定のままでも問題ありませんが、意味を知っておくと注文の幅が広がります。

特に大事なのが「預り区分」。ここでNISAを選び忘れると、せっかくの非課税枠を使わずに課税口座で買ってしまいます。あとから移し替えることはできないので、NISAで買うつもりなら必ず確認してください。

「注文有効期間」も要注意です。指値注文を「今週中」で出したまま忘れていると、数日後の思わぬタイミングで約定していることがあります。初心者のうちは「本日中」にして、毎日出し直すほうが管理しやすいです。

注文画面の残りの項目、迷ったらこれ
項目画面に出る選択肢初心者はどうする?
執行条件なし(指定なし)/寄付(よりつき)/引け(ひけ)/不成(ふなり)「なし」でOK。寄付は朝の最初の値段、引けは大引けの値段だけで売買する条件です
注文有効期間本日中/今週中/期間指定「本日中」。出しっぱなしの注文を忘れる事故を防げます
預り区分特定預り/一般預り/NISA預りNISAの枠を使うなら「NISA預り」、それ以外は「特定預り」
注文の種類通常/逆指値/OCO など「通常」。逆指値は「◯円まで下がったら売る」という損切り用の予約注文です
注文はいつでも出せる東京証券取引所が動いているのは平日の9時〜11時30分と12時30分〜15時30分ですが、注文の入力自体は24時間できます。夜のうちに指値注文を出しておけば、翌朝の取引開始と同時に処理されます。仕事中に相場を見られない人ほど、指値が味方になります。

最初の1株は「単元未満株」で買う

日本株の基本単位は100株なので、株価3,000円の会社を普通に買うと30万円必要です。ここでひるむ必要はありません。大手ネット証券には1株から買える単元未満株サービス(SBI証券のS株、楽天証券のかぶミニ、マネックス証券のワン株、三菱UFJ eスマート証券のプチ株など)があります。

3,000円の株を1株なら3,000円。ランチ数回分の金額で、あなたはその会社の株主です。配当も1株分きちんともらえます。まずはよく知っている会社を1株買って、注文から約定までの流れを一度体験してしまうのが、どんな解説記事より効く練習です。

ただし単元未満株には制約もあります。多くの証券会社では指値が使えず成行のみ、しかも注文を出した時刻によって「その日の後場の始値」など約定するタイミングが決まっています。注文ボタンを押しても即座に約定しないので、「壊れたのかな?」と焦らないでください。

単元未満株は議決権がない1株だけ持っていても配当はもらえますが、株主総会の議決権はありません(議決権は100株=1単元から)。株主優待も原則100株以上が条件のことが多いです。優待狙いなら、単元未満株でコツコツ買い増して100株にそろえる、という進め方もあります。

買えない・約定しないときのチェックリスト

「注文したのに買えていない」という相談はとても多いです。理由はだいたい次の5つのどれかで、故障ではありません。

まずはアプリの「注文照会」画面を開いてください。注文の状態が「注文中」「失効」「約定済」のどれになっているかで、原因はすぐ絞り込めます。

約定しない5つの理由
  • ① 指値が届かなかった: いちばん多い理由です。株価が指値まで下がらないまま、注文有効期間が終わって失効しています。注文照会で「失効」と出ていればこれ。翌日に出し直しましょう。
  • ② 取引時間外に出した: 15時30分以降や休日に出した注文は、翌営業日の取引開始まで待機します。すぐ約定しなくて当たり前です。
  • ③ 買付余力が足りない: 注文を出した時点で余力が不足していると、注文自体が受け付けられません。入金が反映されているか確認を。
  • ④ ストップ高・ストップ安になっている: 1日に動ける値幅には上限(値幅制限)があり、そこに張り付くと売買が成立しにくくなります。買い注文が殺到しているストップ高では、成行でも買えないことがあります。
  • ⑤ 同じ値段に注文が並んでいる: 板の同じ価格には先に出した人から順番があります(価格優先・時間優先の原則)。あなたより先に並んでいた注文が消化されるまで、順番は回ってきません。

買ったあとにやること

注文が成立する(約定する)と、アプリに通知が来て、「保有証券」の一覧にその株が並びます。まずはここで約定した値段を確認しましょう。なお、実際に株が自分のものになる受渡日は、約定の2営業日後です。

そしてもうひとつ、地味に効く習慣を。「なぜこの株を買ったのか」を一行メモしておくことです。「PBR0.8倍で配当利回り3.5%、業績も安定していたから」——これだけで十分。あとで株価が下がったとき、売るか持ち続けるかの判断基準は「買った理由が崩れたかどうか」だからです。買った瞬間のあなたの考えが、未来のあなたを助けます。

そしてしばらくは、株価を見すぎないこと。1日に何度もアプリを開くと、数百円の値動きで心が揺れて、長期で持つつもりだった株を数日で売ってしまいます。買ったら次の決算まで放っておく、くらいでちょうどいいです。

売る条件も同時に決めておく買うときに「業績がこうなったら売る」まで決めておくと、あとの判断がぶれません。値段ではなく理由で決めるのがコツ。「30%上がったら売る」より「営業利益が2期連続で減ったら売る」のほうが、感情に流されずに済みます。

まとめ

株の買い方は、銘柄を検索して「現物買」を押し、株数と値段を入れて発注するだけ。決めるのは銘柄・株数・値段の3つで、執行条件や有効期間は初期設定のままで構いません。

値段は指値で自分がコントロールする、最初の1株は単元未満株で気軽に、NISAで買うなら預り区分の選択だけは忘れない。この3つを押さえれば、注文画面はもう怖くありません。

そして買ったら理由を一行メモ。まずは知っている会社を1株、指値で買ってみてください。読んで理解した10記事より、自分で出した1回の注文のほうが多くを教えてくれます。

よくある質問

指値と成行の違いは何ですか?

値段を自分で決めるかどうかの違いです。成行は値段を指定せず「いくらでもいいから今すぐ買う」注文で、ほぼ確実に約定する代わりに想定より高い値段で買ってしまうことがあります。指値は「この値段以下なら買う」と自分で価格を指定する注文で、値段はコントロールできますが、株価がそこまで来なければ約定しません。長期投資の買い付けでは指値が基本です。

初心者は指値と成行のどちらを使うべきですか?

指値をおすすめします。成行は売買の少ない銘柄や取引開始直後に出すと、画面で見ていた値段より数%高いところで約定してしまうことがあるためです。長期投資では「今日中にどうしても買わなければならない」場面はほとんどありません。現在値より少し下に指値を置いて、届かなければ翌日出し直す、という進め方で十分です。

スマホで株を買う手順を教えてください。

証券アプリで会社名か4桁の証券コードを検索し、銘柄ページの「現物買」をタップします。次に数量(株数)を入力し、価格で成行か指値を選択。執行条件は「なし」、注文有効期間は「本日中」、預り区分は特定口座かNISA口座かを選びます。最後に注文確認画面で概算約定代金の桁を確認し、取引暗証番号を入力して発注すれば完了です。

株はいくらから買えますか?

単元未満株サービスを使えば数百円から買えます。日本株は通常100株単位なので、株価3,000円の会社なら30万円必要ですが、SBI証券のS株、楽天証券のかぶミニ、マネックス証券のワン株などを使えば1株3,000円で株主になれます。配当も持ち株数に応じて受け取れます。ただし議決権や株主優待は原則100株以上が条件です。

注文したのに約定しないのはなぜですか?

いちばん多いのは、指値の価格まで株価が下がらずに注文有効期間が終わったケースです。ほかに、取引時間外(平日15時30分以降や休日)に出したため翌営業日まで待機している、買付余力が足りない、ストップ高で売買が成立しにくい、といった理由があります。アプリの「注文照会」画面で注文中か失効かを確認すれば、原因はすぐわかります。

株はいつでも注文できますか?

注文の入力は24時間できますが、実際に売買が成立するのは平日の取引時間中だけです。東京証券取引所は平日9時から11時30分(前場)と12時30分から15時30分(後場)に開いており、土日祝日は休みです。夜間に出した注文は翌営業日の取引開始時に処理されるため、日中に相場を見られない人は前夜に指値を出しておく使い方が便利です。

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