ローソク足とは? — 1本で4つの値段を語る

ローソク足は、一定期間(1日・1週間など)の値動きをロウソク1本の形で表す、日本発祥のチャート表現です。江戸時代の米相場で使われていたものが起源とされ、いまでは世界中の証券アプリで標準になっています。1本を見るだけで、始値(その期間の最初の値段)・終値(最後の値段)・高値(いちばん高かった値段)・安値(いちばん安かった値段)の4つがわかります。この4つをまとめて「四本値(よんほんね)」と呼びます。

形は2つの部品でできています。太い四角の部分が実体で、始値と終値の範囲を表します。実体から上下に伸びる細い線がヒゲで、上ヒゲの先端が高値、下ヒゲの先端が安値です。実体の上下の端がそのまま始値と終値になっているので、ヒゲの長さは「行ったけど戻された分」を意味します。

色は終値と始値の関係で決まります。終値が始値より高い(その期間に値上がりした)なら陽線、低い(値下がりした)なら陰線。日本の証券アプリでは陽線が赤や白、陰線が青や黒で表示されるのが一般的です。海外のツールでは陽線が緑、陰線が赤ということも多いので、色より「実体の上端が終値か始値か」で覚えておくと迷いません。

1本の期間を変えたものが、日足(1本=1日)・週足(1本=1週間)・月足(1本=1ヶ月)です。長期投資なら週足と月足が中心。日足は半年分でも約120本が並んで細かい上下に目を奪われますが、週足なら5年分でも約260本で、その銘柄がいまどのあたりにいるかがひと目でわかります。

1本を言葉にしてみる始値1,000円・終値1,080円・高値1,100円・安値990円の日足なら、実体は1,000〜1,080円の範囲で終値が上なので陽線。上ヒゲは1,080円から1,100円まで、下ヒゲは1,000円から990円まで伸びます。実体80円に対して上ヒゲ20円・下ヒゲ10円なので、実体が長く素直に上げた強い1日、と読めます。

ローソク足の見方 — 形と意味の早見表

ローソク足は形そのものが、その期間の買い方と売り方の攻防を物語ります。覚えるコツは、実体の長さを「勝ち方の圧倒ぶり」、ヒゲの長さを「押し返された跡」と読むことです。実体が長ければ一方的な展開、ヒゲが長ければ激しい攻防があった証拠になります。

下の表が基本の形です。ただし、どの形も単独で「買いサイン」「売りサイン」になるわけではありません。同じ十字線でも、高値圏で出るのと安値圏で出るのとでは意味が正反対になります。必ず「どこで出たか」とセットで見てください。

覚えておきたいローソク足の形・意味・よくある続き方
意味(その期間に何が起きたか)よくある続き方
大陽線(実体が長い陽線・ヒゲはほぼなし)始値から終値までほぼ一直線に上昇。買い方が終始優勢だった安値圏で出れば上昇の起点になりやすい。高値圏で出た場合は最後の駆け込み買いのこともある
大陰線(実体が長い陰線・ヒゲはほぼなし)始値から終値まで下げ通し。売り方が終始優勢だった高値圏で出ると下落の起点になりやすい。悪材料の直後に出ることが多い
小陽線・小陰線(実体が短い)始値と終値がほとんど変わらず、方向感がない様子見の局面。数本続くと、次の大きな動きへのエネルギーをためている状態と見られる
上ヒゲの長い線(実体の上に長い線)いったん大きく上げたが、売りに押し戻されて終わった高値圏で出ると上値の重さのサイン。抵抗線に跳ね返された跡であることが多い
下ヒゲの長い線(実体の下に長い線)いったん大きく下げたが、買いに支えられて戻して終わった安値圏で出ると下げ止まりのサイン。支持線で拾われた跡であることが多い
十字線(実体がほぼ線・上下にヒゲ)始値と終値がほぼ同じ。買いと売りが完全に拮抗したトレンドの途中で出ると迷いのサイン。天井や大底の転換点で出ることが多い
丸坊主(ヒゲがまったくない大陽線・大陰線)その期間の高値・安値がそのまま始値・終値だった極端な一方通行翌日以降も同じ方向に勢いが続きやすいとされる
ヒゲは「負けた側の足あと」長い上ヒゲは、買い方がそこまで攻め込んだのに売り方に押し返された跡。長い下ヒゲは、売り方が攻め込んだのに買い方に支え返された跡です。ヒゲの先端は「その値段では反対勢力が待っていた」ことを教えてくれます。だからヒゲの先が何度も同じ価格帯に並ぶと、それが支持線・抵抗線になります。

2本・3本の組み合わせで見る — 有名な転換パターン

ローソク足は1本だけでなく、並び方でも読まれます。日本の相場の世界では「酒田五法」と呼ばれる古典的な型が知られていて、なかでも初心者が知っておくと役に立つのは次の4つくらいです。

ただし、こうしたパターンの的中率が高いと考えるのは危険です。過去のチャートを見れば形は必ず見つかりますが、その時点で判断できたかは別の話。テクニカル分析全般に言えることですが、パターンは「そう動きやすい傾向がある」程度に受け止めてください。

初心者が知っておくと役に立つ4つの並び
  • ① 包み線(抱き線): 前の日の実体を、翌日の反対色の実体がすっぽり包み込む形。前日の動きを完全に打ち消したという意味で、転換のサインとされます。
  • ② はらみ線: 前の日の長い実体の中に、翌日の短い実体がすっぽり収まる形。勢いが急に落ちた状態で、トレンドの一服や転換の前触れとされます。
  • ③ 三空(さんくう): 同じ方向に窓を空けたまま3日以上進む形。上げ方向なら過熱、下げ方向なら投げ売りの極まりと見られ、反転が意識されます。
  • ④ 明けの明星・宵の明星: 大陰線→小さな実体→大陽線と並ぶのが明けの明星で底のサイン、大陽線→小さな実体→大陰線と並ぶのが宵の明星で天井のサインとされます。

窓(ギャップ) — 驚きの大きさが空白になる

前日の終値と翌日の始値が大きく離れると、ローソク足とローソク足のあいだにぽっかり空白ができます。これが窓(ギャップ)です。取引が行われていない夜のあいだに好決算や大きなニュースが出て、翌朝の寄り付きから価格が飛んだときに生まれます。驚きが大きいほど、窓も大きく開きます。

たとえば終値2,000円の株に大幅な上方修正が出て、翌朝2,300円で寄り付いたとします。2,000円から2,300円のあいだには1回も取引がないので、そこがチャート上の空白になります。この場合、前日までに買っていた人は全員が一晩で15%の含み益、という状態です。

「窓はいずれ埋まる(株価が窓の価格帯まで戻ってくる)」という有名な経験則があり、窓の位置は多くの投資家に意識されます。上に開いた窓の下限は、あとから支持線として働きやすい価格帯になります。ただし「必ず埋まる」わけではなく、業績が本当に変わったことによる窓は何年も埋まらないこともあります。

移動平均線とは? — 5日・25日・75日の役割分担

移動平均線は、過去一定期間の終値の平均をつないだ曲線です。25日移動平均線なら、その日を含む直近25日間の終値を足して25で割った値を、毎日プロットしてつないだもの。日々のギザギザをならして、株価の大きな流れ(トレンド)を浮かび上がらせるための道具です。英語ではMoving Average、略してMAと表記されます。

使い方の基本は2つだけ。① 線の向き: 右上がりなら上昇トレンド、右下がりなら下降トレンド、横ばいならレンジ。② 株価との位置関係: 株価が線より上にあれば強い状態、下にあれば弱い状態。この2つを見るだけで、その銘柄がいまどんな局面かはだいたいつかめます。

期間の長さで役割が変わります。短い線は株価にぴったり張りつくように動いて反応が早いぶんダマシも多く、長い線はゆったり動いて反応は遅いぶん信頼度が高い。日足チャートでは5日・25日・75日の3本が標準で、証券アプリの初期設定もたいていこの組み合わせです。営業日で数えると5日=約1週間、25日=約1ヶ月、75日=約3ヶ月(四半期)にあたり、決算が3ヶ月ごとに出ることを考えると75日線が「1回の決算期間の平均コスト」を表しているのは理にかなっています。

日足チャートでよく使う移動平均線の期間と役割
表す期間どう使う?
5日線約1週間短期の勢い。株価にほぼ張りつく。デイトレードなど短期売買の目安に使われる
25日線約1ヶ月中期トレンドの基準線。押し目買いの目安としていちばんよく見られる
75日線約3ヶ月(四半期)中長期の方向。この線の上か下かで、その銘柄の地合いの良し悪しを判断する
200日線約10ヶ月長期の生命線。海外の投資家が特に意識する。割り込むと長期の弱気とされやすい
13週線・26週線約3ヶ月・約6ヶ月週足チャートで使う。長期投資家が銘柄の大きな流れを見るときの定番
25日線の意味25日移動平均線は「直近1ヶ月に買った人たちの平均コスト」とも読めます。株価が線より上=最近買った人はみんな含み益(強気になりやすい)、下=みんな含み損(株価が戻ったら売りたい人が多い)。線が意識される理由はここにあります。株価が2,000円で25日線が1,900円なら、この1ヶ月で買った人は平均5%の含み益、という具合です。

ゴールデンクロスとデッドクロス — 買いサインの正しい読み方

短期の移動平均線(25日線など)が長期の線(75日線など)を下から上へ突き抜けることをゴールデンクロスと呼び、上昇トレンド入りの買いサインとされます。逆に短期線が長期線を上から下へ抜けるのがデッドクロスで、売りサインの代表です。ニュースや証券アプリのお知らせでもよく出てくる言葉なので、名前だけは覚えておくと便利です。

なぜサインになるのか。短期線が長期線を上抜けるということは、直近1ヶ月に買った人の平均コストが、直近3ヶ月に買った人の平均コストを上回ったということ。つまり最近になって買いの勢いが加速している状態を表しています。数字の裏づけがあるので、多くの人が同じタイミングで反応します。

ただし移動平均線は過去の平均である以上、サインが出るのはトレンド転換からしばらく経った後という弱点があります(遅行性)。25日線と75日線のクロスなら、株価が底を打ってから1ヶ月以上あとにサインが出ることも珍しくありません。「クロスを見てから乗っても、おいしい区間の前半は終わっている」ことが多いのです。速報サインではなく、流れの確認役と考えるのが正しい使い方です。

もうひとつ知っておきたいのが、クロスの「質」の違いです。長期線がまだ右下がりのときに短期線が上抜けるクロスは、下げ止まりかけただけの弱いサイン。長期線がすでに横ばい〜右上がりに変わってからのクロスのほうが信頼度は高いとされます。同じゴールデンクロスでも、2本の線の傾きまで見ると精度が上がります。

クロスだけで売買しない横ばい相場では2本の線が絡み合い、ゴールデンクロスとデッドクロスが数週間おきに交互に出てダマシだらけになります。そのたびに売買していると手数料と税金だけがかさみます。まずトレンドがあるかどうかを確認する、が鉄則です。そして長期投資では、デッドクロスを理由に優良株を手放すのは避けてください。売る基準は会社の中身が変わったかどうかです。

まとめ

ローソク足は1本で始値・終値・高値・安値の4つを語ります。実体の長さは勝ち方の圧倒ぶり、ヒゲの長さは押し返された跡。長い上ヒゲは上値の重さ、長い下ヒゲは下げ止まり、十字線は迷い——ただしどの形も「どこで出たか」とセットでなければ意味を持ちません。

移動平均線は流れをならして見せる道具で、日足なら5日・25日・75日が標準です。線の向きと、株価が線の上か下かを見るだけで、いまの局面はだいたいつかめます。ゴールデンクロス/デッドクロスはトレンド転換の確認サインですが、遅行性があり、横ばい相場ではダマシが増えます。

チャートの形は投資家心理の記録であって、未来の予定表ではありません。テクニカルだけで勝てるわけではないので、長期投資では週足で大きな流れを確認し、買う時期をならすための材料として使うくらいがちょうどいい距離感です。

まずは気になる銘柄のチャートを開いて、直近の1本を「実体が長い陽線」「上ヒゲの長い陰線」のように言葉にしてみてください。言葉にできるようになると、チャートが急に読めるものに変わります。

よくある質問

ローソク足の陽線と陰線の違いは何ですか?

終値が始値より高ければ陽線、低ければ陰線です。陽線はその期間に値上がりしたこと、陰線は値下がりしたことを表します。日本の証券アプリでは陽線が赤や白、陰線が青や黒で表示されるのが一般的ですが、海外のツールでは陽線が緑、陰線が赤のことも多いです。色ではなく「実体の上端が終値か始値か」で覚えると迷いません。

ローソク足のヒゲは何を意味していますか?

ヒゲは「そこまで行ったけれど押し戻された」跡を意味します。上ヒゲが長いのは、いったん高値まで上げたのに売りに押し返されて終わったということ。下ヒゲが長いのは、大きく下げたのに買いに支えられて戻したということです。高値圏で長い上ヒゲが出れば上値の重さ、安値圏で長い下ヒゲが出れば下げ止まりのサインとして読まれます。

ゴールデンクロスとは何ですか? 買いサインですか?

短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ突き抜けることをゴールデンクロスと呼び、上昇トレンド入りのサインとされます。日足では25日線が75日線を上抜けるパターンが定番です。ただし移動平均線は過去の平均なので、サインが出るのは株価が底を打ってから1ヶ月以上あとになることも多く、速報ではなく確認役と考えるのが実際的です。

移動平均線は5日・25日・75日のどれを見ればいいですか?

中期のトレンドを見るなら25日線が基準です。約1ヶ月に買った人の平均コストを表すため、押し目買いの目安としていちばんよく見られます。5日線は反応が早い一方でダマシが多く、75日線は約3ヶ月の方向を示すため地合いの判断に向きます。長期投資なら週足の13週線・26週線を見るほうが、細かい上下に振り回されずに済みます。

チャートの「窓」は必ず埋まりますか?

必ずではありません。「窓はいずれ埋まる」という経験則は広く知られていますが、あくまで傾向です。決算の大幅な上方修正のように会社の実力そのものが変わったことで開いた窓は、何年も埋まらないことがあります。一方で、需給や過熱感だけで開いた窓は比較的短期間で埋まりやすいとされます。窓が開いた理由を確認するのが先です。

日足と週足はどちらを見るべきですか?

投資する期間に合わせます。数年単位の長期投資なら週足が中心です。日足は1本が1日なので半年分でも約120本が並び、細かい上下に目を奪われがちですが、週足なら5年分でも約260本でその銘柄の長期の位置がひと目でわかります。週足で大きな流れを判断し、実際に買う日を決めるときだけ日足を開く、という使い分けが扱いやすいです。

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