なぜ利益と現金はズレるのか
「1年で利益10億円」の会社の金庫に、10億円が増えているとは限りません。商品を掛け売り(ツケ)で売れば、売上と利益は計上されても現金はまだ入っていない。逆に、工場を建てて現金が大きく出ていっても、費用としては数年に分けて計上されます(減価償却)。
こうして利益と現金の動きはズレます。会計の世界には「利益は意見、キャッシュは事実」という有名な言葉があるほどで、利益は会計ルールの解釈次第で多少化粧できますが、現金の残高は嘘をつけません。その現金の動きだけを記録したのがキャッシュフロー計算書(CF)です。
3つのキャッシュフローの意味
CF計算書は、現金の動きを3つに分けて記録します。
① 営業CF: 本業の商売でいくら現金を稼いだか。ここが安定してプラスであることが、健全な会社の大前提です。
② 投資CF: 工場・設備・買収などにいくら使ったか。成長のために投資している会社は通常マイナスになります。プラスの場合は資産を売って現金を作っている可能性も。
③ 財務CF: 借入・返済・配当・自社株買いなどお金の調達と返済。借金を返し配当を払う成熟企業はマイナスが普通です。
フリーキャッシュフローという考え方
営業CFから、事業維持に必要な投資を引いて残る現金をフリーキャッシュフロー(FCF)と呼びます。会社が「自由に使えるお金」で、配当・自社株買い・借金返済・新規事業、すべての原資はここから出ます。
バフェットをはじめ多くの著名投資家が最重視するのもこのFCFです。利益がいくら立派でも、FCFが恒常的にマイナスの会社は、外からお金を調達し続けないと回らない自転車操業かもしれません。逆に毎年潤沢なFCFを生む会社は、多少の逆風ではびくともしません。
まとめ
CF計算書は現金の動きだけを記録した「嘘のつけない家計簿」。営業CFがプラスか、営業+・投資−・財務−の黄金パターンか、FCFを生めているか。この3チェックで、利益の数字だけでは見えない会社の生命力がわかります。