減価償却ってなに?

減価償却(げんかしょうきゃく)は、工場・機械・トラック・建物など、長く使う高額なものを買ったとき、その代金を買った年に全額費用にするのではなく、使う年数に分けて少しずつ費用計上する会計ルールです。

1,000万円のトラックを買った運送会社を考えてみましょう。もし買った年に1,000万円を全額費用にすると、その年だけ大赤字で、翌年からは費用ゼロでトラックを使い放題。これでは毎年の成績が実態とズレてしまいます。トラックは10年働いてくれるのだから、費用も10年に分けて毎年100万円ずつ——こう考えるのが減価償却です。

毎年の減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数(定額法の場合)

最大のポイント: 現金は出ていかない費用

減価償却費のいちばん大事な性質は、費用なのに現金は1円も出ていかないことです。現金が出ていったのは買った瞬間だけ。その後の毎年100万円は、帳簿の上での「費用の割り振り」にすぎません。

だから、減価償却費の大きい会社は「PLの利益は小さく見えるのに、現金はしっかり貯まる」という現象が起きます。キャッシュフロー計算書で営業CFが純利益より大きくなる主因はこれです。逆に言えば、利益が薄くても営業CFが厚い会社は、減価償却という「見えない稼ぎ」を持っているのかもしれません。

PLとCFのズレを体感純利益50億円+減価償却費100億円の会社 → 現金ベースでは約150億円稼いでいる計算。PLだけ見ると地味でも、キャッシュ製造能力は純利益の3倍。設備産業にはこういう会社がよくあります。

投資家としての注目ポイント

① 設備産業の決算は減価償却とセットで読む: 鉄道・電力・半導体・通信などは減価償却費が巨額です。大型投資の直後は償却負担で減益に見えますが、数年後に償却が終われば利益が急回復することも。「いま償却の山のどこにいるか」で見え方が変わります。

② EBITDAという便利な物差し: 利益に減価償却費を足し戻したEBITDA(イービットディーエー)は、償却負担の違いを除いた「現金ベースの稼ぐ力」として、設備産業や買収の場面でよく使われます。

③ 償却が少なすぎる会社に注意: 古い設備を更新せず償却費を抑えて利益を出している会社は、いずれ大型投資のツケが回ってきます。投資CFが長年小さすぎる会社は、未来を食いつぶしている可能性も。

注意減価償却の方法(定額法・定率法)や耐用年数の設定しだいで、同じ設備でも毎年の費用は変わります。他社比較のときは会計方針の違いが影響することも頭の片隅に。

まとめ

減価償却は大きな買い物を使う年数に分けて費用化する仕組みで、現金の出ていかない費用。だからPLとCFはズレる。設備産業の決算やEBITDA、営業CFの厚みを読むカギになる、会計理解の分水嶺です。

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