のれんってなに?

のれんは、会社を買収するときに、相手の純資産(帳簿上の正味の財産)を上回って支払った差額のことです。純資産100億円の会社を150億円で買えば、差額の50億円が「のれん」として買った側のBSに資産計上されます。

なぜ帳簿より高く払うのか?それは、帳簿に載らない価値——ブランド、技術、顧客との関係、優秀な人材、業界での評判——があるからです。老舗の店先にかかる「のれん」が象徴する信用やブランドこそが語源。つまり、のれんとは目に見えない価値につけた値段なのです。

のれん = 買収価格 − 買収先の純資産(時価評価後)
ラーメン屋で考える行列のできるラーメン屋。厨房設備と店舗の正味価値は1,000万円でも、オーナーは3,000万円でないと売ってくれない。差額2,000万円は「秘伝のスープと常連客」への対価 = のれんです。

のれんの怖さ — 減損という時限爆弾

問題は、買収がアテ外れだったときです。「秘伝のスープ」の人気が落ちて儲からなくなったら、2,000万円ののれんは払いすぎだったことになります。このとき会計ルールは、のれんの価値を切り下げて損失計上することを求めます。これがのれんの減損です。

減損は一度に巨額の特別損失として純利益を直撃します。日本企業でも、海外の大型買収が不調に終わり、数千億円規模ののれん減損で最終赤字に転落した例が何度もニュースになってきました。買収発表の華々しさの裏には、常にこのリスクが潜んでいます。

チェックすべき会社BSの資産に対してのれんの割合が大きい会社(目安: 純資産に対しのれんが数十%以上)は、買収先の不調がそのまま巨額赤字に直結します。M&Aで急成長してきた会社ほど、のれんの大きさを確認しましょう。

日本基準とIFRSで扱いが違う

少し発展的な話ですが、のれんの会計処理は基準によって異なります。日本基準では、のれんを20年以内で毎年少しずつ費用化(償却)します。買収後は償却費の分だけ利益が押し下げられますが、その分リスクも小刻みに処理されます。

一方、IFRS(国際会計基準)や米国基準では定期償却をせず、価値が下がったと判断したときに一気に減損します。ふだんの利益は高く見えますが、ダメだったときの損失が一撃で来る方式です。IFRS採用企業の「利益が高く見える」一因がここにあります。同業でも採用基準が違うと利益は単純比較できない——覚えておくと役立つ知識です。

ポイント買収ニュースを見たら「純資産の何倍の値段で買ったか」に注目。プレミアム(上乗せ)が大きいほど、のれんも大きく、将来の減損リスクも大きくなります。

まとめ

のれんは買収時に払った「目に見えない価値」への対価で、BSに資産として載る。買収が不調ならのれん減損として巨額損失になる。M&Aに積極的な会社に投資するなら、のれんの大きさと買収の成否を見守ることが欠かせません。

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