どんな本?
プロ同士が競い合う現代の市場では、勝とうとするほどミスで負ける「敗者のゲーム」になっている——テニスの例え話で有名な世界的名著。だからこそ市場平均に乗るインデックス運用が合理的だと説きます。
プロのテニスは相手を打ち負かすスーパーショットで勝負が決まる「勝者のゲーム」、アマチュアのテニスは自滅のミスで勝負が決まる「敗者のゲーム」——この有名な比喩が、市場の本質を一発で伝えてくれます。取引の大半をプロが占める現代市場で、個人が売買のうまさで勝ち続けるのは構造的に難しい。ならばミスをしない設計(=低コストで市場全体を持ち続ける)で戦うべきだ、という論理です。
初版から40年以上、改訂を重ねて読み継がれてきた事実そのものが、内容の普遍性の証明です。「稲妻が輝く瞬間(=急騰日)に市場に居合わせられないと長期リターンは激減する」という有名なデータは、暴落時に売りたくなったときの最強のブレーキになります。インデックス派はもちろん、個別株派にも土台として効く1冊です。
本書のもうひとつの柱が「運用基本方針」の重要性です。どの銘柄を買うかより先に、自分は何年後のために・どれだけの下落に耐えて・どんな配分で投資するのかを文章にしておく。市場が暴落したとき投資家を守るのは銘柄選びのうまさではなく、事前に決めたこの方針だとエリスは繰り返します。個別株投資をする人にとっても、この章だけで読む価値があります。
読みどころを挙げるなら、①テニスの比喩で語られる「敗者のゲーム」の定義、②プロ運用機関の大半が長期では市場平均に勝てていないという運用成績の検証、③急騰日を逃すことのコストを示す「稲妻」の議論、④運用基本方針の立て方、の4つです。数式はほとんど出てこないので、投資理論の本としては読みやすい部類に入ります。
注意点をひとつ挙げると、本書の結論は徹底して「低コストのインデックスファンドを買って持ち続けよ」であり、個別株の銘柄選びのテクニックは学べません。銘柄分析を学びたい人は、本書で土台を固めたうえでバリュー投資やファンダメンタルズ分析の本に進む、という順番がおすすめです。
この本で学べること
- 機関投資家だらけの市場で個人が勝ちにくい構造的な理由
- 「ミスをしないこと」が勝敗を決める敗者のゲームの考え方
- 暴落時に売らず、市場に居続けることの決定的な重要性
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